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油圧シリンダーのシール交換(パッキン交換)の具体的な方法と手順

油圧シリンダーのパッキン交換の具体的な方法


こんにちは、ビーエスパッキン部品課の安川です。
今回は油圧シリンダーのパッキン交換の具体的な方法についてお話させていただければと思います。
交換の方法は慣れてくればその人なりの交換しやすい方法を見つけられると思いますが、以下に、油圧シリンダーのパッキン交換を行う際の一般的な手順を注意点や必要な工具も含めて詳しく説明させていただきます。なお、実際の作業ではシリンダーの型式・メーカーごとに多少の違いがあるため、あくまでも目安として参考にしてください。



1. 作業前の準備


1-1.安全対策の徹底
• 作業環境の整備: 作業台周辺の清掃、十分な明るさを確保し、転倒防止などの安全対策を行う
• 保護具の着用: 安全メガネ、手袋などを必ず装着する

1-2. 油圧システムの安全措置
• 圧力解除: 油圧ラインのバルブを閉じシリンダー内の残圧を完全に抜いてください。
• 電源・作動装置の停止: システム全体の電源や運転制御装置がオフになっていることを確認してください。

1-3. 必要な工具・材料の準備
• パイプレンチ、トルクレンチ、モンキーレンチ、スナップリングプライヤー
• シールピック(なるべく角張っている部分がないものがおすすめ)
新しいパッキン
• グリスまたはシリコンオイル(組立時の潤滑剤)
• 清掃用クロス、部品クリーナー、クリーニング工具


2. シリンダーの分解

2-1. シリンダーの取り外し
• 取り付け状況の確認: シリンダーが油圧ショベル本体に固定されている場合は、作業が安全に行えるよう取り外します。
• 固定部品の緩解除去: エンドキャップや固定ボルト、スナップリングなどの締結部品を順番に外します。
• 作業中の順序: 部品の取り外し順序は、後で再組立てする際の混乱を避けるため写真やメモを残しておくと、あとの取り付けの時にわかりやすくなります。

2-2. ピストンとピストンロッドの分解
• ピストンロッドの取り出し: シリンダー内に残っている油を注意深く拭き取りながら、ロッドをゆっくり引き出す
• ピストンの位置確認: ピストンがロッドに固定されている場合は、固定部品(ネジやスナップリング等)を外して、ピストンからロッドを分解する。

2-3. 古いパッキン・シールの取り外し
• パッキンの損傷確認: 取り外す際、シリンダーやロッド面を傷つけないように細心の注意でシールピックなどで取り外す。
• 全数確認: ロッドシール、ピストンシール、ダストシール、また必要に応じてバックアップリングなど、全てのシール類を丁寧に取り外す
• 洗浄: 分解時に付着した油分や汚れはクリーナーなどで拭き取り、部品表面を清浄する。ハウジングはエアーダスターや洗浄油、ルーターなどで汚れや鉄粉などを落とし、サビがあるときは確実に錆び取りを行う。



3. 新しいパッキンの取り付け

3-1. 新しいシール部品の確認
• 製品確認: 新しく用意したパッキンが油圧シリンダーの仕様に合致しているか、型式・サイズを再度確認する
• 潤滑: 新しいパッキンの接触面に薄くグリスまたはシリコンオイルを塗布することで、装着時の摩擦低減と均一なシール効果が得られます。

3-2. パッキンの取り付け手順
• 取り付け順序: まずはヘッドキャップ内のブッシュを交換してください。ブッシュを取り付けた際に鉄粉や鉄くずが発生したときは必ずきれいに取り除いてください。次にバッファリング(ステップシール)、バックアップリング、ロッドシール、ダストシールの順番で装着するのが一番装着しやすくトラブルが少ないです。ピストン側についてはピストンシール、ウェアーリングの順番で装着。
• 向き・位置の確認: シールには必ず正しい取り付け方向があり、誤った向きや位置で装着すると、作動中に油漏れや異常が発生する原因となります。



4. シリンダーの再組立て

4-1. ピストンとロッドの再組立て
• 元の状態への組立: 新しく取り付けたパッキンが正しく配置された状態を確認しながら、ピストンとロッドを元の位置に戻す。
• 固定具の締め付け: エンドキャップ、ボルト、スナップリングなどの固定部品をしっかり締め付ける

4-2. 組立て後の確認
• 外観点検: シリンダー全体に隙間やズレ、パッキンの浮きがないか目視で確認してください。
• 内部の清掃: 組立て直後に、万が一残留物があれば、必ず取り除いてください。



5. 動作試験と漏れチェック

5-1. 初期試運転
• 低圧での作動: 油圧ラインに再接続し、システムをまずは低圧で作動させる。これにより新しいシールが正しく機能しているかを確認できます。
• 動作観察: ピストンおよびロッドの動きをチェックし、異常な摩擦音や振動、抵抗の変化がないか確認してください。

5-2. 漏れの確認
• 点検: シリンダーの各接合部、特にシール部位から油漏れが発生していないか、十分に観察してください。
万が一油漏れが確認された場合は、再度シールの取り付け状態、固定部品の締め付け状況をチェックし、必要に応じた再調整を実施してください。



6. 注意点とポイント

• 作業記録: 分解前後の状態や取り外した部品の順序、写真を撮っておくと、再組立ての際にミスが減らすことが可能です。
• 工具の適正使用: シール部品は非常に繊細なため、金属工具で無理に取り扱うと変形・損傷を生じる可能性があります。細心の注意を払ってください。


この一連の手順を守ることで、油圧シリンダーのパッキン交換作業は安全かつ効果的に実施することが可能です。作業に不安がある場合は、ビーエスパッキンにてパッキン交換も承っておりますのでお気軽にご相談ください( ◠‿◠ ) 

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